光の神子と麗しの騎士

 

騎士が、流浪をしていた頃、ある女性と出会いました。

その女性は、一国の姫でした。

騎士は、人よりもずっと長く命を持っている為、

誰かと深い関わりを持とうとは

しませんでした。

 

ある日、騎士は湖の畔で、姫が傷だらけになっているのを目にし、

急いで町に降りて、医者に診せました。

すると、姫ははっと目覚め、

 

“私の体はどこにある!?”

 

叫ぶ彼女に騎士も医者も驚きました。

けれど騎士は、すっと目を細め、

こう言いました。

 

“貴女の体はきちんとここにありますよ”

 

冷静さと優しさを帯びた声音に姫も安心して、

再びに眠りの底に落ちていきました。

怪我も良くなった数日後、落ち着いた姫は、ぽつぽつと自らのことを

語りだしました。

 

姫は、天の使い、戦乙女の血を持つ者。

自分の国を脅かす、獣や人間、また、人ならざる者たちから、

護らなければならず、

お城の兵と共に戦に駆り出されていました。

その度に、体はぼろぼろになりましたが、姫には、一番大切なものが

ありました。

 

それは、『自分の肉体』でした。

姫の体には、生まれた時から宝珠が埋め込まれていて、

姫が死ねば、その肉体の一部は、プラチナに変わってしまう。

しかしそれは、姫が認めた『誰か』ではないと、

プラチナには変わらないと言うのです。

 

では、姫が認めた『誰か』以外の手に渡るとどうなってしまうのか。

騎士は尋ねました。

 

“地中は腐り、暗雲渦巻き、500由旬、更にその下部まで黒い柱に

貫かれ、聖も悪も入り混じり、秩序亡き世に

変わり果ててしまうだろう”

 

“だから、もし私が死んだら、この肉体を貴女に引き取ってほしい”

 

まだ、出会って1か月にも満たない

騎士に、お願いをしました。

 

騎士は、ゆっくり目を閉じて、思いをお腹の底にゆっくり落とし、

 

“わかりました”

 

只一言、答えました。

 

そして、姫が亡き後、約束通りに肉体を引き取り、流浪が終わった後、

自分の屋敷の地下に、安置させました。

 

姫が生きている間に、子供を産んでいました。

 

“私の愛しい神子”

 

姫は、戦で命を落とす時、騎士にそう告げました。

 

✵ ✵ ✵

主人公の騎士(ジョウサイ)の後ろに居る子供は、お姫様の

忘れ形見です。

 

金の十字架はそれぞれの“繋がり”を意味しています。


光に包まれて

 

君が笑ってくれるなら、もう少しだけ

生きていたい…

 

この作品は、精神的病で苦しむ青年と、

青年の大切な天使を描いたものです。

この世に苦しんでいる人たちは沢山います。

ですが、きっと傍で、自分の気づかないところで、

誰かが光のような涙を流してくれている…

と言うコンセプトで描きました。

 

 


アダムの夢

 

いつか君が終わる時、必ず迎えに行こう

 

人の子として生まれることが出来なかった

“黒の王”

 

人間が持つことは出来ない、余りにも

深い業を

背負わなければ成らなかった

悲しき王

 

業により姿は黒く成ろうとも

何処までも強く美しい信は

やがて彼女を幸せに導く

 

天使はその想いを救い

永遠の楽園に

誘う

darknightfantasy

悪華の姉妹

 

清く美しかった二人の精霊。

 

闇に落ち無くてはならない

“理由”がありました。

 

まだ受肉していない頃、ある儀式に

失敗し、罰として人間の体を

与えられたのです。

 

その罰は計り知れず、人として幸せに

生きることを許されません。

 

しかし、人間の体を与えられたのは、

“成すべきことを成す為”

だと、ある者に諭されます。

 

2人がどう生きるかを問うお話し。


ダリヤ=ヴェインとその弟子、ベル

深い森の奥、人の居ないところに、一人の魔術師が

住んでいました。

 

彼女の名前はダリヤ=ヴェイン。

 

人は彼女を、『黒の魔女』と呼びます。

人が持てぬ大きな力を持って生まれ、そして、その大きな力は、

彼女にしか扱えぬもの…

 

才能あるが故に傷つき、疲れ果ててしまいます。

 

そして、彼女に対して、深い執着を持つ者も、少なくありませんでした。

深い悲しみに執われ、その悲しみの拭い方を知りません。

 

“彼と出会うまでは”

 

 

『究極の答え』を見つけるまでの

物語。